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Eコマース・ロジスティクスの中心地として台頭する香港

新たな物流インフラへの投資が、香港のアジア域内貿易の中心地としての立場を強化し、近年のアジア域内貿易の成長を支えています。
新たな物流インフラへの投資が、香港のアジア域内貿易の中心地としての立場を強化し、近年のアジア域内貿易の成長を支えています。
2023 年 11月 14 日 •

近年、アジアにおける貿易の拡大が目立つようになっています。これは、中国やインド、ベトナムなどでの需要と消費の増加と、消費者のオンラインショッピング志向の拡大によるものです。

Digital Commerce 360の調査によりますと、2020年にアジアの消費者は、2兆5,250億ドル(2兆3,000億ユーロ)を小売企業のウェブサイトやオンラインマーケットプレイスで支出しました。これは2019年の2兆1,180億ドル(2兆200億ユーロ)からの増加になります。さらにアジアのEコマース市場は 2027年までに2兆8130億ドル (2兆508億ユーロ) に達し、年間成長率は11.64%になると予想されています。  

これにより、アジア全土の航空貨物の輸送量と需要が大幅に増加しました。 香港国際空港(HKIA) だけでも、2021年に82,935便もの貨物機が運航し、2020年と比べて約2割の増加となりました。航空貨物の取り扱い量は約 503 万トンで、前年比 12.5% の増加でした。 

この貿易環境の変化により、アジアの企業に大きなチャンスへの扉が開かれました。多くの中小企業 (SME) は、ネットワークを拡大し、より大きな市場でシェアを獲得できる可能性を認識するようになりました。 

しかし、アジアがこの新しいビジネス環境に移行する中で、既存の物流インフラネットワークが、増大する貨物量を効率的かつタイムリーに対処できるかどうかという問題が浮上しています。香港のような物流の中心地は、加速する需要の増加に応え続ける必要があるのです。

ロジスティクスがEコマースの成功を可能にする 

急速に発展するEコマースで成功したい中小企業は、効率性だけでなく柔軟性のある物流サービスを必要としています。これは期待を満たす適切な専門知識、コンプライアンスと規制の知識、そしてインフラ、およびテクノロジーを備えていることを意味します。優れた物流パートナーは、サービス品質を損なうことなく、小売事業者の増加するニーズ (特に繁忙期) に合わせて拡張し、市場の変化や予期せぬ混乱に適応することもできます。 

迅速で信頼性の高いラストマイル配送サービスは、顧客のショッピング体験における重要な最後のステップであり、注文した商品が時間どおりに良好な状態で届くことを保証します。消費者は、商品を迅速かつ一貫して提供できる企業を選択し、それができない企業を避ける傾向があります。ラストマイルでの素晴らしい体験は、多くの場合良いレビュー、リピート購入、そして顧客ロイヤルティにつながります。また、企業が配送コストと輸送コストを削減し、ルートを最適化することで、配送による環境負荷を軽減するのにも役立ちます。 

「Eコマースの世界では、中小企業にとって信頼性が高くレジリエンスのある物流ネットワークが成功への道です」と、DHL Expressアジア太平洋地域のCEOケン リーは述べています。「それは、消費者のクリックをシームレスで時間通りの配達体験に変える架け橋であり、それを達成するには、適切な物流パートナーが鍵となります。そのような物流パートナーは、お客様の予期せぬ状況に迅速に適応し、効果的に拡張し成長できるよう支援します。」 

物流の中心地としての香港の未来への投資

アジア域内からの需要と輸送量の増加が、すでに中央アジア全域の物流に影響を及ぼしていることから、国際貿易のハブとしての香港の地位を強化する投資が行われています。  

香港は、世界で最も忙しい貨物空港だけでなく海運インフラも誇り、アジア太平洋地域および珠江デルタ地域の主要都市から飛行機で 4 時間以内という戦略的な位置にあります。これにより香港は、主要市場への商品のタイムリーな配送を実現するのに理想的な立地となっています。また企業にとっても、中国圏の広範な製造業へのアクセスしやすい玄関口でもあります。 

実際、大湾区発の貨物の 75 パーセントは香港を経由しています。これが東莞のHKIAロジスティクスパーク計画 の大きな理由のひとつとなっています。この計画はHKIAの新しいエアサイドの複合一貫輸送と連携して機能するもので、東莞で輸出貨物の保安検査、パレット積み、受け入れを行うのが目的です。これにより追加の検査を受けずに貨物が香港国際空港のエアサイドに直接輸送されるため、2025年に完成予定のこの新型モデルは、運営コストが50パーセント削減され、取り扱い時間が約3分の1削減される見込みです。